BCP(事業継続計画)は企業だけのものではありません。家庭にも「生活継続計画」が必要です。経営管理15年の現場で培ったリスク管理の視点を、自分の家庭に適用してみたところ、見えてきたのは「停電リスク」の過小評価でした。この記事では、停電による損失コストを具体的に計算し、対策投資のROI(投資対効果)を分析します。数字で判断する——それが経営管理者としてのわたしの流儀です。
この記事のポイント
- 企業BCPと家庭BCPの共通点——「想定外を想定する」思考
- 停電リスクの直接的・間接的損失コストを具体的に計算
- ポータブル電源投資のROI分析——10年間の総コストと期待損失回避額
- 数字に表れない「安心」という無形資産の価値
- 経営管理15年の視点で導いた投資判断の結論
それでは見ていきましょう。
なぜ家庭にもBCPが必要なのか
BCP(事業継続計画)は企業だけのものではありません。家庭にも「生活継続計画」が必要です。経営管理15年の経験から、わたしは家庭のリスク管理を企業と同じ視点で考えるようになりました。

BCPって企業向けの話ですよね?家庭に適用するって、ちょっと大げさじゃないですか?

わたしも最初はそう思っていました。でも経営管理の仕事をしていると、リスク管理の考え方は家庭にも応用できることに気づくんです。この記事では、具体的な数字で「家庭のBCP」を考えてみますね。
企業BCPと家庭BCPの共通点
企業のBCPは「災害時にも事業を継続するための計画」です。電力、通信、人員、資金——これらが途絶えても、最低限の事業を維持する方法を事前に決めておきます。
家庭も同じです。停電、断水、交通遮断——これらが起きても、家族の生活を維持する方法を事前に決めておく。これが「家庭のBCP」です。
「想定外」を想定する思考
経営管理で学んだ重要な教訓は「想定外を想定する」ことです。東日本大震災以降、多くの企業がBCPを見直しました。「まさか」が起きることを前提に計画を立てる。この思考は家庭にも必要です。
停電リスクの損失コスト計算
リスク対策への投資を判断するには、まず「リスクが顕在化した場合の損失」を計算する必要があります。停電リスクについて、具体的に試算してみましょう。
直接的な損失コスト
停電による直接的な損失には以下のようなものがあります。
冷蔵庫の食材廃棄:24時間以上の停電で冷凍食品は全滅します。わが家の場合、冷凍庫の中身は約2万円相当。これが一度に失われます。
外食・コンビニ費用:調理ができないため、外食やコンビニ食に頼ることになります。4人家族で1日あたり約5,000円の追加出費。
宿泊費用:長期停電の場合、ホテルへの避難も選択肢になります。4人で1泊1万円以上。
間接的な損失コスト
直接的な損失以上に深刻なのが、間接的な損失です。
仕事への影響:在宅勤務ができなければ、有給休暇を消化するか、無給で休むことになります。1日あたりの機会損失は数万円規模。
健康への影響:夏場のエアコン停止は熱中症リスク、冬場の暖房停止は低体温症リスクにつながります。特に子どもや高齢者がいる家庭では、医療費という形で損失が発生する可能性があります。
ポータブル電源投資のROI分析
リスクと損失を把握したら、次は対策への投資判断です。ポータブル電源への投資を、ROI(投資対効果)の観点から分析します。
投資コストの整理
ポータブル電源への投資コストは以下の通りです。
初期投資:容量2000Whクラスのポータブル電源で約25万円、200Wソーラーパネルで約5万円。合計約30万円。
維持コスト:電気代(充電用)は年間約500円程度。バッテリー交換は10年後に必要になる可能性があり、その際は約10万円。
10年間の総コスト:約40万円(初期投資30万円+維持費5,000円+バッテリー交換10万円)
期待損失回避額の計算
次に、ポータブル電源があることで回避できる損失を計算します。
10年間の停電発生確率:気象庁のデータによると、年間1回以上の停電を経験する確率は約20%。10年間で少なくとも1回の長時間停電(24時間以上)を経験する確率は約80%と推定。
1回の停電での損失額:食材廃棄2万円+外食費1万円+仕事への影響5万円=約8万円
10年間の期待損失額:8万円×80%=6.4万円
「あれ、投資コスト40万円に対して期待損失回避額が6.4万円?割に合わないのでは?」と思われるかもしれません。しかし、この計算には含まれていない要素があります。
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 【投資コスト(10年間)】 | ||
| ポータブル電源(2000Whクラス) | 250,000円 | 初期投資 |
| ソーラーパネル(200W) | 50,000円 | 初期投資 |
| 電気代(充電用) | 5,000円 | 年500円×10年 |
| バッテリー交換 | 100,000円 | 10年後に発生の可能性 |
| 投資コスト合計 | 405,000円 | |
| 【期待損失回避額(10年間)】 | ||
| 食材廃棄回避 | 16,000円 | 2万円×80% |
| 外食費回避 | 8,000円 | 1万円×80% |
| 仕事への影響回避 | 40,000円 | 5万円×80% |
| 期待損失回避額合計 | 64,000円 | |
| 【数字に表れない価値】 | ||
| 安心感 | 算定不能 | 無形資産 |
| キャンプ・日常利用 | 年間数万円相当 | 追加リターン |
| 子どもへの教育効果 | 算定不能 | 長期的価値 |
数字に表れない価値と投資判断
ROI計算だけでは捉えきれない価値があります。経営管理の現場でも、数字だけで判断できない投資は存在します。
「安心」という無形資産
ポータブル電源がもたらす最大の価値は「安心」です。台風が近づいても、地震速報が鳴っても、「うちは大丈夫」と思える。この安心感は金額に換算できません。
経営管理で言えば、これは「ブランド価値」や「従業員満足度」に相当します。直接的な売上にはつながらなくても、長期的な企業価値を高める投資。家庭における「安心」も同じです。
わたしの投資判断
以上の分析を踏まえ、わたしは「投資する価値がある」と判断しました。数字上のROIは低いですが、以下の要素を加味しました。
- 安心という無形価値
- 日常使い(キャンプ、節電)による追加的なリターン
- 子どもたちへの教育効果(防災意識の醸成)
経営管理の視点で言えば、これは「戦略的投資」に分類されます。短期的なリターンは低くても、長期的な価値を生む投資。家庭のBCPへの投資も、同じ考え方で判断しました。
| この記事で学べること | Select記事で学べること | 相乗効果 |
|---|---|---|
| 家庭BCPの考え方 | ポータブル電源の選び方基準 | リスク管理の視点で最適な製品を選定 |
| 停電リスクの損失コスト計算 | 容量・出力の見極め方 | 必要スペックを数字で導き出せる |
| 投資コストの整理方法 | 価格帯別おすすめモデル | 予算に応じた最適解が分かる |
| ROI分析のフレームワーク | 10年間の総コスト比較 | 長期視点での投資判断ができる |
| 無形資産の価値評価 | 安全性・保証の重要性 | 数字以外の判断基準も含めて選べる |
投資効果のシミュレーションと、わたしが実際に選んだ製品については、こちらで詳しくまとめています。 ▶ ALLPOWERSポータブル電源のROI比較|経営管理15年の父が選んだ最適解
まとめ:家庭のBCPは「戦略的投資」として判断する
家庭のリスク管理も、企業と同じ視点で考えることができます。停電リスクの損失コストを計算し、対策投資のROIを分析する。数字だけでは測れない「安心」という無形資産も含めて、総合的に投資判断を下す。これが経営管理者としてのわたしのアプローチです。
【重要ポイント6つ】
- 家庭にもBCP(生活継続計画)が必要——企業と同じ視点でリスク管理を考える
- 停電リスクの損失コストを具体的に計算——直接損失と間接損失を可視化する
- 投資判断はROI分析から始める——10年間の総コストと期待損失回避額を比較
- 数字だけでは捉えきれない価値がある——「安心」という無形資産を評価に含める
- 日常使いによる追加リターンも考慮——キャンプや節電での活用で投資効率が上がる
- 戦略的投資として判断する——短期ROIが低くても長期的な価値を生む投資は正当化できる
数字で考え、数字を超えた価値も見る。それが経営管理者の投資判断です。

